宅地建物取引業・免許 — 宅建業を営むには誰の免許が必要か

このカテゴリで覚える3つの結論

  • 不動産の取引でも、4要件を満たす行為だけが免許の対象になる。
  • 4要素で該当性を判定し、次に大臣免許か知事免許かを振り分ける2段構えで考える。
  • 本文の判定フロー1本で、ある行為が免許制度に乗るかを答えられる。
宅建業を構成する4要素(宅地・建物・取引・業)の分解図

1. 宅建業の定義 — 宅地・建物・取引・業の4要素で判定する

業法第2条第2号は宅建業を4要素の同時成立として定義します。対象が宅地または建物、態様が売買・交換・貸借、関わり方が自ら・代理・媒介、それを業として行うこと。1つでも欠ければ非該当です。

業法第2条第2号: 「宅地若しくは建物(建物の一部を含む。以下同じ。)の売買若しくは交換又は宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の代理若しくは媒介をする行為で業として行うもの」(e-Gov 業法第2条

1.1 『宅地』の範囲 — 用途地域内なら現況にかかわらず宅地

宅地の判定マトリクス

業法第2条第1号は宅地を、建物の敷地に供せられる土地、または用途地域内の土地(道路・公園・河川・広場・水路を除く)と定めます。令和2年度12月試験問44では「将来建物を建てる目的の土地」も宅地と確認されました。

1.2 『建物』の範囲 — 居住・事業用問わず屋根と柱壁があれば建物

建物の包含関係ツリー

業法は建物の定義を明文化していません。住宅・店舗・倉庫・マンション1室など用途を問わず、屋根と柱または壁を持つ構造物が建物です。マンションの専有部分も第2条第1号括弧書きで建物に含まれます。

1.3 『取引』の8類型 — 自ら・代理・媒介 × 売買・交換・貸借

取引の3×3マトリクス

3×3の9マスのうち、「自ら貸借」だけが取引に該当しません。残り8類型が宅建業として扱われます。

関わり方 \\ 契約売買交換貸借
自ら該当該当非該当
代理該当該当該当
媒介該当該当該当

2. 『業』の該当性 — 不特定多数 × 反復継続が判定軸

宅建業該当判定フロー

国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」は、業該当性を「不特定多数を相手として、反復または継続して取引を行うこと」と整理しています(→ 国交省 解釈運用)。

2.1 免許不要となる例外 — 国・地方公共団体・信託銀行

免許不要主体の体系

業法第78条で国・地方公共団体には業法が適用されません。信託会社等は大臣への届出によりみなし大臣免許になります(業法第77条)。「免許不要」ではなく「みなし免許」である点を押さえてください。

2.2 自ら貸借が非該当な理由 — 借家業は宅建業ではない

自ら売買と自ら貸借の左右比較

令和5年度問38選択肢アは「自ら所有する複数建物を反復継続して賃貸する行為は宅建業に該当しない」を正解肢として出題しました。大家業・借家業は宅建業ではありません。

3. 免許権者と申請先 — 事務所の所在地で大臣免許か知事免許かが決まる

免許権者判定フロー

業法第3条第1項は、事務所が2以上の都道府県にわたれば大臣免許、1都道府県内なら知事免許と振り分けます。事務所の数や規模は判定に関係しません。

3.1 事務所の定義 — 本店・支店・継続的施設

事務所の階層構造

業法施行令第1条の2は事務所を、本店・支店のほか「契約締結権限ある使用人を置く継続的施設」と定めます。本店自体が宅建業を営んでいなくても、支店が営んでいれば本店も事務所扱いとなる点が頻出です。

3.2 免許申請の流れと有効期間5年

免許申請から更新までのタイムライン

免許の有効期間は5年(業法第3条第2項)。更新は満了の90日前から30日前までに申請します(業法施行規則第3条)。期間内に申請していれば、満了日までに新免許が下りなくても、従前の免許で営業を継続できます(業法第3条第4項)。

3.3 免許換え — 事務所所在地変更で旧免許失効

免許換えの3パターン

事務所の新設・廃止・移転で免許権者が変わる場合、新免許権者に免許換え申請をします(業法第7条)。放置すると業法第66条第1項第5号の必要的取消事由となります。

4. 欠格事由 — 5年要件と『その他』の絶対欠格

欠格事由の左右比較

業法第5条第1項の欠格事由は、「5年経過で解消」群「絶対欠格」群に大別できます。

4.1 5 年経過すれば免許可能となる事由

5年経過で解消する欠格類型のツリー
  • 免許取消処分から5年: 不正手段による取得、業務停止違反等
  • 罰金以上の刑から5年: 業法違反、暴対法違反、傷害・暴行罪、背任罪
  • 拘禁刑以上の刑から5年: 罪名問わず(執行終了または執行免除を受けた日から)
  • 暴力団員でなくなって5年: 業法第5条第1項第7号後段。離脱から5年経過で欠格解消

執行猶予付き判決は猶予期間満了で刑の言渡しが効力を失い、5年待たずに欠格事由が解消します。

令和7年6月1日施行の刑法等改正で「懲役・禁錮」は「拘禁刑」に一本化されました。本教材は基準日 2026-04-01 時点の現行法に従い「拘禁刑」と表記します。

4.2 5 年経過しても免許不可な絶対欠格事由

絶対欠格事由のツリー
  • 心身の故障で宅建業を適正に営めない者(施行規則第3条の2)
  • 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
  • 現役の暴力団員(在籍中は時間経過と無関係に欠格。離脱後5年は §4.1 の5年要件で扱う)
  • 未成年者で法定代理人の同意がない、または法定代理人自身が欠格に該当する場合

法人は役員・政令使用人の1人でも欠格なら法人自体も欠格扱い(業法第5条第1項第12号)。

5. 免許取消・廃業 — 必要的取消事由と任意的取消事由

必要的取消と任意的取消の左右比較
取消類型根拠条文主な事由
必要的取消業法第66条第1項欠格事由該当、不正取得、業務停止違反、免許換え未了、1年以上事業休止
任意的取消業法第66条第2項・第67条第1項免許条件違反(業法第3条の2)/所在不明(公告後30日経過しても申出なし)

なお「他法令違反」「不正・不当な行為で取引関係者に損害を与えるおそれ」は業法第65条第2項の指示処分・業務停止処分の事由です(特に情状が重ければ第66条第1項第9号の必要的取消に昇格)。

5.1 廃業等の届出 — 死亡・合併・破産・解散・廃止の30日以内

廃業届出のタイムライン

業法第11条の廃業届出は、義務者と起算日が事由ごとに異なります。

事由届出義務者起算日
個人業者の死亡相続人死亡を知った日
法人の合併消滅消滅会社の代表役員であった者合併の日
破産手続開始決定破産管財人決定の日
解散(合併・破産以外)清算人解散の日
廃業(任意)業者本人または代表役員廃業の日

いずれも30日以内に届け出ます。死亡だけ起算日が「知った日」になる点が引っかけです。

5.2 免許取消後の取引結了 — 営業は止めずに継続中の取引を結了できる

取引結了業務のタイムライン

業法第76条は、免許失効後も「現に締結している契約に基づく取引を結了する目的の範囲内で、なお宅建業者とみなす」と定めます。新規契約は不可、既契約の決済や引渡しは継続可能、というこの線引きを正確に答えられれば十分です。

このカテゴリから出る過去問(公式由来確認済の問題)

  • 令和2年度12月試験 問44(正しいものはいくつあるか)— 論点: 宅地の定義。出典: 一般財団法人 不動産適正取引推進機構(→ RETIO 試験情報
  • 令和5年度試験 問38(正しいものはいくつあるか)— 論点: 自ら貸借非該当・宅建士定義・業の該当性。出典: 同上

本カテゴリの過去問27年分の集約・解説は Phase 3 で /takken/quiz/{year}/{q-number}/ に展開予定です。

参照条文

- 注: e-Gov の SPA URL が変更され lawId 直リンクが失効しているため、検索ハブ経由でリンクします。Phase 2 着手前に lawId を再確定する予定です。

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5_2 宅地建物取引士 — 免許制度の次は、その免許を裏付ける「専任の宅建士」の制度に進みます。

本教材は 令和8年度(2026年度)宅地建物取引士資格試験 を対象として、2026 年 4 月 1 日時点で施行されている法令 に基づき執筆しています。法改正は /takken/changelog/ に掲載します。

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