CF精算表ステップ学習
← CF精算表ステップ学習

Step 6. 税金の支払(法人税等)

6-1. このStepで学ぶこと

最後のStepです。ここでは法人税等の計上・支払と、配当金の支払を扱います。Step 6が完了すると、CFWSは完成形になります。

追加される論点は2つです。

Step 6 の論点: 法人税等の計上と支払、配当金の支払

6-2. 法人税等の支払

取引の流れ

法人税等は、計上のタイミングと支払のタイミングにズレがあります。このズレはStep 4の支払利息とまったく同じ構造です。

  • X1期: 当期の法人税等150,000円を計上します。相手科目は未払法人税等です。X1期中に現金の支払はありません。
  • X2期: X1期分の150,000円を納付します。同時に、X2期の法人税等180,000円を計上します。

つまりX2期のキャッシュ・フロー計算書に載る「法人税等の支払額」は150,000円です。当期の損益計算書に計上された180,000円ではなく、実際に現金が出た150,000円(前期計上分の納付)です。

仕訳

X1期(計上のみ):

X1期 法人税等の計上仕訳: 法人税、住民税及び事業税 150,000 / 未払法人税等 150,000

X2期(前期分の支払):

X2期 法人税等の支払仕訳: 未払法人税等 150,000 / 現金預金 150,000

X2期(当期分の計上):

X2期 法人税等の計上仕訳: 法人税、住民税及び事業税 180,000 / 未払法人税等 180,000

支払額の計算式

法人税等の支払額を求める公式は次のとおりです。

法人税等の支払額 = PL法人税等 + 未払法人税等の期首残高 − 未払法人税等の期末残高

X2期の例:

支払額 = 180,000 + 150,000 − 180,000 = 150,000

この公式に見覚えはないでしょうか。Step 4で利息の支払額を求めたときとまったく同じです。

利息の支払額 = PL支払利息 + 未払利息の期首 − 未払利息の期末

「損益計算書上の費用(または収益) ± 貸借対照表残高の増減 = 実際の現金支払額(または受取額)」。この公式はStep 3の受取利息(1回目)、Step 4の支払利息(2回目)に続いて、ここで3回目の登場です。同じ公式が繰り返し使えるのは、「計上と支払のタイミングズレ」という構造が共通しているからです。

連結CF実務指針10項では、法人税等の支払額を営業活動によるキャッシュ・フローの小計の下に一括表示すると定めています。対象は法人税・住民税・利益に関連する事業税です。外形標準課税(付加価値割・資本割)はここに含めません。

営業キャッシュ・フローでの表示位置 — 小計の「下」

法人税等の支払額 — 小計の下に表示

法人税等の支払額は営業キャッシュ・フロー小計の下に表示します。小計の上ではありません。

ここで改めて考えてみてください。間接法はなぜ「税引前利益」からスタートするのでしょうか。Step 1から「なんとなく」税引前利益を使ってきましたが、ここで腑に落ちるはずです。

法人税等は小計の下で現金支払額を別途表示します。もし「税引後利益」からスタートしてしまうと、利益の中にすでに法人税等が含まれてしまいます。それを小計の下で再び調整するのは二重計算になってしまう。だから法人税等を含まない「税引前利益」からスタートし、法人税等は小計の下で1回だけ表示する。これが間接法の設計思想です。

CFWS更新

CFWSの営業CF列の小計下に「法人税等の支払額」を記入します。未払法人税等の貸借対照表増減が、この行で吸収されます。

6-3. 配当金の支払

配当金の特徴 — 損益計算書に出ない

配当金は費用ではありません。株主への利益の分配(利益処分)です。したがって損益計算書には一切表示されません。

損益計算書に出ないということは、間接法の営業キャッシュ・フロー調整に一切現れないということです。税引前利益からスタートする営業キャッシュ・フローの計算過程で、配当金が登場する場面はありません。

財務CFでの配当金の表示

配当金はキャッシュ・フロー計算書の財務活動区分に「配当金の支払額」として表示されます。株主への利益の還元は、株式の発行(資金調達)と対をなす財務活動だからです。

仕訳

配当決議時:

配当決議仕訳: 繰越利益剰余金 50,000 / 未払配当金 50,000

配当支払時:

配当支払仕訳: 未払配当金 50,000 / 現金預金 50,000

支払額の計算式

配当金の支払額 = 配当決議額 + 未払配当金の期首残高 − 未払配当金の期末残高

「損益計算書費用(ここでは決議額) ± 貸借対照表増減 = 現金支払額」の公式、4回目の登場です。

公式の登場回数: 受取利息(Step 3), 支払利息(Step 4), 法人税等(Step 6), 配当金(Step 6)

4回とも「計上のタイミングと現金の動くタイミングがずれる」という同じ構造です。損益計算書(または決議額)で認識された金額と、貸借対照表上の未払残高の増減を使って、実際の現金支出額を逆算します。連結CF実務指針では配当金の支払額を財務活動に分類すると定めています。

CFWS更新

CFWSの財務CF列に「配当金の支払額」を記入します。繰越利益剰余金と未払配当金の貸借対照表増減が、この行と営業キャッシュ・フロー(税引前利益を経由する当期純利益部分)で吸収されます。

6-4. CFWSの更新 — 完成形

ステップ(1) 年次推移表の確認

b_年次推移表 のExcelファイルを開いてください。未払法人税等が貸借対照表に、法人税等が損益計算書に追加されています。

b_年次推移表 -- Step 6
読み込み中...

ステップ(2) 取引モジュールの確認

a_取引モジュール のExcelファイルを開いてください。

a_取引モジュール -- Step 6
読み込み中...

ステップ(3) CFWSへの転記

c_CFWS のExcelファイルを開いてください。

c_CFWS -- Step 6 精算表
読み込み中...

CFWSを開いたら、精算表エリアで未払法人税等の行を確認しましょう。BS増減が「法人税等の支払額」列に振り分けられています。check列ゼロ。

CF計算書エリアでは、精算表の列合計が各行に集約されています。

  • 税引前当期純利益 9,244,800
  • 減価償却費 +275,000
  • 小計 10,197,850
  • 法人税等の支払額 0(1期目は前期分の未払がないため支払なし)
  • 営業CF 10,197,850
  • 株式の発行 +3,000,000
  • 財務CF +3,000,000

期末現金残高は13,197,850となり、BS上の普通預金と一致します。これでCFWSは完成形です。

Step 6のまとめ

Step 1から6回のステップを経て、間接法キャッシュ・フロー計算書のすべての構成要素が揃いました。

法人税等のCF表示配当金の財務CF表示